流山の夜間休日診療がわかりづらい理由

主に子育て世代の方に「流山で子育てするなら」ということで、夜間休日診療の事情や不便さ関して連載で書いていますが、根本的な「なぜそうな面倒なことになってるのか」というのを書いてみます。

過去のエントリー)
流山で子育てするなら知っておきたい夜間休日の病院事情
流山で出産・子育て 車がない!でも病院へ行くには?
流山で子育てするなら 休日夜間の診療はその後が面倒


曜日によって病院は違うし、時間によっても夜間休日診療所だったり。
どんな時でも同じ病院で、できれば近くの病院で診てもらえれば便利ですよね。

では、何故こんなにわかりづらいことになるか?
一言でいれば、

「人手不足」

です。

流山の小児で言えば、夜間の受け入れ病院は東葛病院と愛友会記念病院。
この2つの病院が24h体制で受け入れしてくれるととても助かります。

しかし、24h体制の救急受け入れは相当なマンパワーが必要です。
それが出来る病院が全国でも少数であることを説明したいと思います。
(資料は日本小児科学会 小児医療提供体制検討委員会 
 病院小児科・医師現状調査 2013年1月7日版より)

この2つの病院が分類される小児科の時間外診療を行う一般病院で、
24h体制を維持できる病院は 21.2% です。
8割は当番制や医師を呼び出す形で対応しているのです。

そして、その8割の病院で対応している医師の6割は小児科医ではない医師か、初期研修医です。

次に、「小児科医師数の十分な確保ができているか」という問いに対して「はい」と回答した施設は、一般病院では30.6%に過ぎません。

上記のデータを見ていただけると、流山の診療体制は特別不便なわけではなく一般的な体制なのがわかると思います。そして全国的に小児科医は少なく、当番制で時間外診療をするのが一般的なのです。


では「夜間休日診療」はなぜ存在するのか?
これも「人手」の問題です。

上記の資料でいう「病院」は病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つものを指します。
それ以外は「診療所」と言われます。
全てではないですが、主に病院で働く医師を「勤務医」と呼び、診療所を開業している医師を「開業医」と呼びます。

医師不足が深刻なのは「勤務医」の方です。労働環境も非常に悪く、業界別にみると宗教家に続く第2位で、多忙なイメージの弁護士などの法務従事者を上回る労働時間です。

過去エントリー)小児科医の過酷な勤務状況

データえっせい「職業別ブラック就業率」2013/9/19


そこで、「開業医」の人たちが協力して、少しでもこの労働環境を改善しよう。
という仕組みが「夜間休日診療所」であり、全国的にも一般的な仕組みです。
野田・松戸・柏あたりも同じような仕組みになっています。

「夜間休日診療所」は開業医の方が当番制で診察をしています。
日本の「開業医」の方は基本的に元勤務医です。なのでこの辺りの事情は認識されています。


ここで流山は少し問題だと思うのは、夜間休日診療と救急病院が離れていることです。
松戸は隣接していますし、野田も近い。近ければ現地についてからも誘導できるし、行きなおすのも苦ではありませんが。

さらに夜間休日診療所にかなりの予算を使っています。
おそらく殆どは人件費だと思うのですが、利用者・市民にとってはもう少し便利に効率よく回してほしいところです。