本田宏氏による日本の医療問題と第三世界の医療の防波堤・キューバから学ぶ

『知ろう小児医療守ろう子ども達の会』による本田先生の公開勉強会
キューバの医療の現状〜数多く病気を根絶している国から得られる知恵」に参加してきました。

本田宏氏は医療問題について、様々な活動をされています。
埼玉県済生会栗橋病院院長補佐。外科医。NPO法人医療制度研究会副理事長。

SNSでも活発に発言されています。(下記リンク参照)
facebook
Twitter

私もTwitter(@honda_hiroshi)でフォローをしていましたが、
医療問題に関してかなり厳しい口調で常に発信しておられます。

「かなりきつい感じがするけど、どんな人なんだろう?」

でもお会いできる貴重な機会。
CareNetLIVEというネット番組に登場していたことを知り、
視聴することが出来たので、事前に予習していきました。

CareNetLIVE
本田宏 vs 柿原浩明 年末スペシャル!生ディベート「TPPと医療」

そうすると、

「あれ。このおじさん意外と温厚な人?」

と感じました。
すごい論客というより、気持ちが前面に行く感じです。
そんな印象に変わりながら、今回の勉強会をむかえました。

そして話し出すと、先生、本当に面白い!
ユーモアも混ぜながら、言っている事は非常に厳しい日本の医療問題なのですが。
しかもそれを医師が言ってしまってるのですが、全く嫌味もひがみもなく、
笑いをおこしながらも確実に聴衆の心をとらえています。


すみません、本筋と違うところでべた褒めしてしまいました。


でもこれは本当にすごいことだと思います。
外科の医師としてはかなり異質のタイプじゃないですか!?
(外科の医師は話下手の医師が多いイメージ←大変失礼です)


さて、肝心な中身ですが、数値的な資料をしっかり揃えて、とても説得力のある内容でした。

***

前半は日本の医療問題。
アメリカや世界比較が多く本質的な部分が一部隠れている感じはしましたが、
ずっと主張されている「医師増員」の理由もしっかり聞けました。

今回特に日本医療問題で目から鱗だったのは、歴史を絡めた部分です。
どうしても最新の資料を集めて比較してしまうのですが、
時間軸を長くしてみると、日本の医療業界の歪が新たに発見できました。

後半は今回メインは「キューバの医療」について。
単純に医療の紹介ではなく、キューバという国について、そしてその中でどれだけ医療にウェイトを置いているのか。しっかり社会的な背景も含めて話してくれました。

さらに国際的な背景、アメリカの厳しい経済制裁を受けているために、輸入できない医薬品もあります。
その一例が免疫抑制剤
移植までできるほど医療技術が高いのに、アメリカは移植後に必要な免疫抑制剤の輸出を禁止しています。
それでも、新薬を自国で開発する方針を取り、今では医薬品を輸出している状態です。

キューバは「医療」と「教育」にはとてもお金をかけていますが、それ以外のインフラなどはまだかなり低いレベルです。
そういったことを可能にしている一つの要因は、憲法で「医療は無償でうけられる」ことが決まっているからです。
しかし、同時にそのための「国民の協力」も憲法に書かれているのです。国民の医療への協力は義務なので根本から意識が違うのですね。

医療政策も国主導で具体的数値目標を掲げ実行に移されます。
(日本の診療報酬による誘導に比べると実行力は比べ物にならないでしょう)
そしてキューバ投票率は95%。
国会議員は一部有償、地方議員はボランティアだそうです。
投票上では子どもが立会人をつとめ、親子で投票場に行きます。

社会主義国家なので日本への取入れが難しい面はありますが、日本とは全く違う形で社会を形成し、高い医療環境をつくっています。

キューバの医療は第三世界の医療の防波堤になるだろう」

世界がお手本とするキューバの医療の話はとても面白かったです。
本田先生、ありがとうございました。

最後に先生の書籍をご紹介。
各医療問題についてそれぞれの専門化が、問題定義から解決策まで示しているので深い内容になっています。