病院経営は誰がすべきか〜医師はプレイングマネージャーになるべきではない

日本では病院長は医師であることが法で定められているそうですが、(おそらく医療法)
病院経営をするのは医師である必要性があるのか。度々話題にのぼります。

「医師であるべき」という場合は、医療行為を営利的な要因に影響されずに、患者に行うために。そして医師の仕事、使命を理解している者が行うべき。という意見を聞きます。

「医師である必要はない」という場合は、圧倒的に、
「医師は経営の知識がない」というものが多いです。
その他にも「医師」中心ではなく、他の医療者のこと、または患者を中心の医療と考えれば、必ずしも医師の必要はないなど。


私の考えは後者の病院経営は「医師である必要はない」です。


その最もたる要因は、

「マネジメントは専門職であるべき」

ということからです。
平べったく言えば「医者をしながら経営は無理」と考えていただいて結構です。

数十年「医師」を続けてきた人が、「経営者」になる。
どっちもそんなに簡単な職業だとは思えません。

なかには超人的な方、経営も万全にこなしますが、ごく少数です。
殆どの病院長が「経営」の概念を持っていません。
そういった人が「病院経営」をすることがハッピーなことでしょうか?

優秀な医師が経営者の劣等生になる。
こんな悲しいストーリーはないと思うのですが。

もしマネジメントを本当に医師がやるのであれば、
その瞬間に白衣は脱ぐべきです。
それでも医師の方は病院長になりたいですか?
アメリカでは医師が病院経営をすることを法律で禁じているそうです。


これは病院に限らず、組織をマネジメントをする人は、マネジメントにする集中すべき。
なので私は「プレイングマネージャー」という考え方も反対です。

そして成り上がり式のマネージャーの必要もないと思っています。
成り上がり式というのは、必ずその組織の主たる職務を長年遂行してからマネージャになる。という考え方です。

これはIT業界での経験から思うのですが、
システムの設計やプログラムが神がかり的にできる人が、人・モノ・金(・情報)などの管理もできるかというと、全くそういうことはないです。

そういうのが嫌でなりたがらない人や、そういう人がなってしまって、ひどく評価が下がることが往々にしてあります。
このあたりの原理は「ピーターの法則」という考えもあります。

全く経験も知識もない人がやるのは論外ですが、組織の内部で何十年も経験した人がなればいいというものではありません。
むしろ「マネジメント」の知識や考え方を備えたものが、他の仕事と掛け持つことなく行うことが大事だと思います。

組織としてはトップダウンではなく、フラット型の組織でその中にマネージャがいる。特に偉いわけじゃないけど、メンバーは組織のマネジメントに関してはマネージャーと調整し従う。


これを病院に当てはめると、医師である必要はありません。

自治体病院などで、事務局を2〜3年交代で自治体職員が務める。なんていうのは論外です。

最近読んだ本にありましたが、
「医療経営が出来る人間を育てる大学」
などがあっていいと思います。もし医師がなる場合も、こういったところでもう一度勉強しなおす。そういう仕組みがあればいいんじゃないでしょうか?

病院経営に営利性が出過ぎる。という心配がありますが、マネージャーは独裁者じゃありません。
医師をはじめ、各スタッフの意見を聞き入れずに病院という組織をマネジメント出来るわけがありません。


さらに、これは病院長だけの話じゃないんです。
そもそも病院自体が「マネージャー不在」または、「医師がプレイングマネージャーを務め続けているのです。

なので「患者中心のチーム医療を」というならば、まず「患者マネージャー」的な職種を作りませんか?本当に患者に必要な人が「医師」であるわけではないし、医師に聞いてもわからない、紹介してもらえないケースは多々あるわけです。

医師は「マネジメントを兼務」することより、診療に集中してください。


この持論、前にも書いた気がする。と思って調べたら、1年以上前に殆ど同じ内容を書いてました。。。


病院をマネジメントするのは医者である。か?