コンピュータの修理をタダで引き受ける時に必ず伝えること

「コンピュータの修理をタダで引き受けてはならない10の理由」という記事がありましたが、それ以前に「コンピュータの修理をタダで引き受ける時に必ず伝えること」があります。
まず元記事を紹介します。

コンピュータの修理をタダで引き受けてはならない10の理由

#1:手助け以降に発生した問題はすべてあなたのミスになる
#2:あなたの時間が尊重されないこともある
#3:さらなる問題を引き起こす可能性もある
#4:人は無償のものに価値を見出さない
#5:無償のITサポートを今後もずっと期待する
#6:人は無償のITサポートが得られると、危険な行為に走りがちとなる
#7:コンピュータ関係の手助けだけでは済まなくなる
#8:雪だるま式に範囲が広がっていく
#9:あなたのサービスは無償ではなく、あなた自身のお金が出て行っている
#10:コンピュータの修理はあまりにも仕事に似通っている

元社内SEとして、社内で利用するPCを数百台とセットアップ、入れ替えをしてきました。
なので修理の話も度々ありましたが、一度もこういった経験はありません。

上記の記事では「修理を引き受ける」際に、私が必ずしていたことが欠けています。
それは「行う作業と作業後の状態の説明」をしっかりするということ。

あまりに当たり前すぎるので、必ず伝えなければならないことを2点だけあげると

 1.元通りには戻らないこと

 2.業者に頼めばいくらかかるか
この2点を伝えれば殆どの問題は回避できます。

まず「1.元通りには戻らないこと」について。

「コンピュータの修理」といいますが、ITプロフェッショナルとそれ以外の人では全く意味が違います。ITプロフェッショナルが「修理」といえば、その故障の推測や修理作業によって、「どこまで復旧できるか」というのは想像がつくと思いますし、その後、もとの状態に戻すまでの作業も自分ですることであるのは当然だと思います。
しかし、それ以外の人では「コンピュータの修理」というのは「元通りに使える」ことを意味します。

それはOSが変わるようなPCの入れ替えでも要求されます。
例えそれが便利になる場合であっても、ユーザにすれば今までと違うので「元通りに使えない」状態なのです。

これが社内SEがITプロフェッショナルの中でもユーザユースに関してのプロフェッショナルとして求められる点です。
ただセットアップしたり、なおすでのではなく、

「いかに元通りに近い状態にセットアップして、利点を説明できるか」
「いかにその後はサポートなしに使い続けられるセットアップをするか」

これをしないでPCを渡すだけであれば、社内SEとしては社内からの批判は逃れられません。
正直に申し上げて「すべての設定を元通りに戻す」ようなことは不可能なケースがほとんどです。
なので、どの部分は元に戻らない。ということは事前に必ず説明しましょう。

各アプリの設定や、個人でインストールしたソフトはセットアップできない

など。
この説明がしっかりできなければ、必ずユーザは「コンピュータの修理」に関して不満を持つことになります。


次に「2.業者に頼めばいくらかかるか」について。

相談に乗る際に、私は必ず「業者に頼めばいくらかかるか、今現在同レベルのPCを買うのにいくらかかるか」ということを説明していました。
そうすると大抵の人は「新しいPCを買うこと」を検討します。

サポート期間内のPCが壊れた際には、メーカー保証で対応されるはずです。
買ってからある程度経ったPCだから修理の依頼がくるわけです。

数年たてばPCの価格は大幅に下落します。
新しいPCを買えばスペックは上がるし、最新のOSやソフトが使えます。
数年使えば大抵の人はPCの動きに不満を持っています。
そして修理したところで、他のパーツが故障したり、OSやソフトのサポート期間切れも発生します。

こんな話をしたうえで、依頼を受けたPCを「もし業者に頼んだらいくらかかるか」という修理費用の概算を伝えれば、

「修理してくれ」

という人は殆どいないでしょう。それどころか「送料とパーツ代」だけでも、修理を依頼されることはありませんね。

よく「ITプロフェッショナルほどPCを頻繁に買い替える」と思っている人がいますが、これは誤解だと思います。
本当に好きな人はよく買い換えますが、ある程度知識がある人は自分で修理したり、チューニングすることができるので1台のPCを長く使います。うちにも8年経つXPのマシーンがサブ機としてまだデスクに残っています。

ITに縁のない方の方が、よほど頻繁に買い替えを行っているのです。ちょっとしたソフトの故障でも知識がなければまずなおせないのが実情です。そこで前述のように修理の見積もりを見れば、新品を購入するという選択をとるのです。

実際に「新品を購入する」ことが一番ハッピーな結果になると思います。


私は以上の2点を伝えることで、社内SEという最も依頼を受けやすい職種と思える立場でも、結局社内からは一度も修理の依頼を受けたことはありませんでした。PCの購入相談は何度も受けましたが。

皆さんも「修理を依頼する側」「修理を受ける側」それぞれの立場で、以上の点を考えてみてください。

今回全然主旨の違うエントリーを書いてしまいましたが、こういうところにも明るいというアピールとして。というか、気になってしょうがなかったので。。。