日本の病院数がもっと少なかったら

前回のエントリーで書きましたが、日本の医療危機の根底には、
「病院の数が多すぎる」
ということが言われています。

単純にリソースが分散しているので、集約すれば無駄が省けるのはすぐにわかりますが、
過去にあった事件に関して、もし「病院数が少なかったら」と仮定すると、起きていなかったと思われるものもあります。

例えば「妊婦の受け入れ拒否」や「小児科医師の過労による自殺」

「妊婦の受け入れ拒否」は受け入れる体制が整った病院がなかったわけです。
救急の受け入れ拒否は、対応する医師の不足や満床にによることが問題と言われています。

医師の数の問題は全体数ではなく、一つの施設にいる医師の数です。
内科医はいるが、外科医がいない。そんな単純な話です。
もし病院数が少なく、リソースが集約されていれば受け入れは可能だったでしょう。

「小児科医師の過労による自殺」の場合は、労働環境の問題です。
少人数で当直もこなせば、当然一人当たりの負荷は上がります。
大人数で当直をこなせば、当然一人当たりの負荷は下がります。

医者が当直のバイトをする。欧米ではありえません。
当直明けは帰宅することが決まっていたり、24時間以内は勤務できないなど、しっかり配慮されています。
それには、病院が集約されて、医師の数や労働環境に余裕ができることが必要です。


これらの悲劇は「病院数が少なかったら」回避できたでしょう。
また他にも期待できる効果もあります。

「病院数が少なかったら」経験できる症例数が増えて、医療者の技術も上がります。
(前回のエントリーの症例数などを参照)
そうすると無駄な検査や治療が減るので、患者は医療サービスを受ける期間も短縮されます。
このように高い技術は医療費を節約します。

「病院数が少なかったら」患者がアクセスできる病院は減ります。
しかし、各病院の技術は上がります。そうするとドクターショッピングとい言われる行為も減少するのではないでしょうか?

交通手段が足かせになるのもありますが、技術力が上がれば、病院への不満も減り、治療も早ければ何件も病院を回る必要はありません。
医療側の環境に余裕ができれば、1人当たりの患者にかける時間も増えるので、患者も不満を持ちにくくなるのではないでしょうか。


以上、桁違いに多い日本の病院による弊害を考えてみました。
それも膨大な借金で作った仕組み。次世代へ大きなツケを回しています。

ここからできることを考えるのはとても難しいですね。。。
国がどこかで大きな決断をすることを期待! できそうにないけど・・・
ずるずるいくしかないのか。