救急救命士の業務拡大の前に教育体制の整理が先では・・・?

前回のエントリーの続きです。

急救命士の業務拡大、来年度から実施へ- 検討会報告書受け厚労省方針

というニュースより。
今回の救急救命士の業務拡大の中で「静脈路確保」がありますが
(ざっくり言うと、点滴を入れる針を刺して、点滴できるようにするってこと?)

救急救命士の業務のあり方等に関する検討会 報告書

によると

必ずしも静脈路確保が高い確率で実施できているとは言えない結果であった。

とあります。
搬送時間の延長もありましたし、詳細をみていくとそもそも処置がうまくできていないのがわかります。
その根底には教育の問題があるようです。

救急救命士の業務のあり方等に関する検討会第2回の資料にもあったのですが、
日本の救急救命士の教育体制には問題山積みのようです
以下本文の抜粋です。

日本では救急救命士教育の病院実習時間はわずか 80〜240時間であり、海外と比較しても 2〜3 分の1の時間であった。

救急救命処置の質的向上は急務である、これまで 18 年間にわたり変化のなかった救急救命士教育体制の抜本的改善がなされないとこの後の救急救命士の発展は望みえない。

救急救命士資格は医療資格でありながら、2−3 年ごとの資格更新のための講習などが必要ないため、資格取得後のも勉強するものと勉強しない者に分かれてしまう。このように我が国の救急救命士養成課程教育は、国家試験を通過することを目標としているため

人材不足、救急医療の崩壊、などの理由から教育体制確保に苦慮している Medical Control体制地域が少なくない。

などなど。せっかく業務を拡大しても、それを実行できなければ意味がありませんね。
しかしちゃんと下記のように対応も検討されています。

アンケート結果や、実証研究での救急救命士の判断の適否、処置の成否を踏まえ、「意識障害をきたす疾病とその鑑別」、「ショックの原因別の分類・鑑別と輸液の効果」、「傷病者への説明と医療倫理について」の講義を充実させ、「心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の手技」の実習を追加し、「血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」と「心肺機能停止前の静脈路確保と輸液」のシナリオ訓練について、トラブル対応を含めて充実させることが適当と考えられる。

やるだけじゃなく、問題点についてはちゃんと教育を。ということですね。
しかし救急救命士の世界でもこんなに教育が後手後手になっているのは驚きでした。