小児科医の過酷な勤務状況

近々発表する場があるので、再度医療の現状の問題を確認しようと資料を調べ始めました。
本当は「OECDヘルスデータ2013」から引用したかったのですが、なにぶん英語に弱く、抜き出すのに難航したため、国内の小児科限定の資料などないかな?と探してみたところ、過去にあさった資料と同じものにぶつかりました。

日本小児科学会 小児医療提供体制検討委員会
病院小児科・医師現状調査(2013 年 1 月 7 日版)

過去に書いたエントリーは2004年と2010年の調査を比較した資料を斜め読みしただけでした。
「小児科医の現状2004→2010」


ファザーリング・ジャパンに入会したこともあり、父親の育児という側面から考えると、

 労働環境はどうなのか?

ということが気になります。
受診する側からしても、長時間労働のなか診てもらうより、
良好な労働環境でしっかりわが子をを診てもらいたい。

また自分の子ども過ごす時間も取れずに、他人の子どもをしっかり診てくれ。
というのはちょっとおかしいんじゃないかと思います。

そこで、主に労働環境について調べてみました。


まずは休日取得日数

月に4回=週1日以下しか休めない人が4割もいます。
「休日0日」が3%いることも本当に心配です。
平成24年 厚生労働省「労働統計要覧 D-1実労働時間数」による出勤日数は19.2日
=10日ぐらい休めるのが平均ですが、10%しかいません。


次は勤務時間です

超過勤務だけで見ても一般的に言われる40h/月を超えています。
日当直を含めた、時間外労働時間は40歳未満では100時間超え。
100時間超えてますので、平均的に過労死認定の範囲で働いているわけです。

さらに、「宅直オンコール」といわれる、帰宅後、自宅待機させ、医院・施設からの緊急の電話対応を翌日の始業時刻まで義務づけるケースがあります。緊急の場合は駆けつけないといけないので、お酒は飲めません。
これを拘束時間と考えた場合はさらに時間は増えて30代では約170時間/月にもなります。

こんな労働環境で子育てすることを想像するとなると、そりゃ無茶な話です。
医師不足が常態化しているというのも納得です。


前回、2004年と2010年の比較資料を参照した時には、
数値が大幅に改善されていたので、労働環境がよくなった。
と書いてしまいましたが、お詫びして訂正いたします。
まだまだ過労死ラインですから今後も改善が必要です。

診る方も診てもらう方も、本来の力が発揮できることが望ましいですから。